今回はスエードなど起毛素材を使った革靴のメンテナンス方法について詳しく解説していきます。
普通の革靴と違って、スエード素材の革靴のメンテナンスは大変だと思っている方も多いかもしれません。
確かに専用の道具など必要になりますが、手入れ自体はとてもシンプルです。この記事を読めば、あなたもスエードの革靴についてメンテナンスをマスターすることができるはずです。

スエードの革靴もメンテナンスできるようになりましょう!起毛素材のドクターマーチンも同じ方法でOKです!
起毛素材の革靴は一般的な革靴とはメンテナンス方法が異なる

一般的なツルツルした質感の革靴と違って、起毛したスエード素材の革靴はメンテナンス方法が異なります。
普通の革靴には靴クリームを使いますが、起毛したにはクリームを使うことができません。起毛素材には専用のブラシや栄養剤が必要となります。
しかしメンテナンス方法自体はとてもシンプル。普通の革靴と同じかむしろ簡単なくらいです。

今回はそんなスエード素材の革靴のメンテナンス方法について詳しく解説していきます。
実際に起毛素材の革靴のメンテナンス方法を解説

では、早速、起毛素材の革物のメンテナンス方法を解説していきます。
今回用意したのはバーウィックの革靴です。黒のスエードが使われているもので、しばらくメンテナンスをしていなかったので、色が薄くなってきています。

メンテナンスを通して革に栄養を与え補色を行います。黒々とした新品のようなバーウィックに戻ってくれるはずです。

ブラッシングで汚れを落とす

まずは通常の革靴と同様、ブラシを使って革靴のほこりを落としていきます。
革と革が重なる溝の部分など、ほこりが溜まっている部分を重点的にブラッシングしていきます。


この時、靴紐を外しておくとこの後のメンテナンスがしやすくなります。

また、ここでシューツリーも入れておきます。なくても問題ありませんが、革が伸びてこの後のスエード専用ブラシを使ってのブラッシングがしやすくなります。
スエード専用のブラシで整える

ここで起毛素材専用の道具を使います。使用するのはスエード専用のブラシです。このブラシが普通の靴ブラシと何が違うかというと、ブラシの内側の部分に金属のブラシが付いています。

この部分で寝てしまっている毛足を起こしてやることで、スエードの質感を戻すことができるのです。

それと同時に毛の中に残っている汚れも掻き出せます。

靴全体を丁寧にスエード用のブラシを使ってブラッシングしていきます。
それほど力は入れなくて大丈夫です。軽い力で小刻みに動かしていきます。
コバについた汚れを綺麗にする

スエード用のブラシを使うと汚れが出ます。私の場合にはこのタイミングで一度コバについた汚れをきれいにしていきます。

汚れ落としクリームを適当な布につけて磨いていきます。

この工程は、すべてのメンテナンスが終わった後に行ってもokです。
スエード用の栄養剤を使って栄養と補色をする

再びスエード用のアイテムを使用します。それがスエード用の栄養剤です。
このアイテムは、革に栄養を与えるのと同時に補色を行うこともできます。そんな一石二鳥のアイテムです。

先端を押し付けるようにすると栄養剤が出てきます。これを靴全体に塗り広げていきます。

スエードの栄養剤のタイプは様々です。今回使ったようなスティックタイプからスプレータイプまで、本当に様々な種類が出ています。お好みで選んでみてください。
- スティックタイプ:補色できるものが多い。細かく塗り分けることができる一方、少し時間がかかる。
- スプレータイプ:補色はできないものが多い。簡単で時間もかからないが、細かな塗り分けなどは苦手。

特徴をまとめました。栄養を入れたいのか、補色も行いたいのかで選び分けるといいでしょう。
もう一度スエード用ブラシでブラッシングする

栄養を入れて補色をしたら、最後にもう一度スエード用ブラシでブラッシングをします。
この時のブラッシングは本当に軽くで大丈夫。栄養を入れた時に寝てしまった毛足を整えるようなイメージです。

これでメンテナンスは終了です。メンテナンスを終えた革靴を見てみましょう。

メンテナンスが終了したバーウィックの革靴がこちらです。特に色味が分かりやすいと思いますが、黒の色が深くなりました。

メンテナンス前は色褪せたような印象でしたが、まるで新品のようです。

慣れれば普通の革靴のメンテナンスと時間も手間もかわりません。しかし、ちょっとした注意点もあります。

スエード靴の注意点についても解説します。
スエード素材の革靴をメンテナンスする注意点

スエード靴のメンテナンスについて、注意点は主に3つです。そんなに難しい事は無いので、ご安心ください。
スエード用ブラシは絶対に普通の革靴に使わない

スエード用のブラシは、起毛革の靴のメンテナンスで絶対に必要なアイテムです。しかし、絶対に普通の革靴には使わないこと。
スエードを整えるために金属製のブラシが付いていることが一般的です。これで滑らかな革の表面を磨いてしまうと傷だらけになってしまいます。
なかなか落ちない汚れには消しゴムを使う

起毛革用のブラシでも汚れが落ちない場合には、消しゴムで汚れ部分を擦ってみてください。
スエード専用の汚れ落としゴムもあるのですが、基本的には普通の消しゴムで十分です。

どうしても落ちない汚れがあった場合には使用してみてください。
起毛素材に防水スプレーを使っても大丈夫か?
“スエードなどに防水スプレーをしても大丈夫”なのかという質問をよく耳にします。
結論からいえば全く問題ありません。スエード自体は水に強い素材なのですが、水に濡れると色が抜けてしまったりとメンテナンスが必要になります。

防水スプレーを事前にしておけば、水に濡れることによるトラブルを避けることができます。
起毛素材のドクターマーチンをメンテナンスする時の注意点

『ドクターマーチン』の中にも起毛素材を使った革物が存在します。

『ドクターマーチン』の場合にはまた少し異なった注意点があるので、お話ししておきましょう。
イエローステッチを汚さないようにする

特にスプレータイプの栄養剤を使う場合の注意点です。『ドクターマーチン』の革靴やブーツには特徴的なイエローステッチが施されていることが多いです。
補色の交換もある栄養剤の場合、ステッチにかかってしまうと色がついてしまう可能性があります。
これを防ぐためにステッチをマスキングしたり、ステッチにつかないよう、最新の注意を払って栄養を与えるようにしましょう。
ソールについた汚れはすぐに拭き取る

イエローステッチと同様に、ソールに栄養剤が付いた場合にはすぐに拭き取るようにしましょう。
ドクターマーチンのソールは化学薬品に強いので、基本的には問題ありませんが念のためです。ただし、補色効果のあるものは長時間ソールについたままになっていると色が移ってしまう可能性もあります。

すぐに拭き取るようにするのがおすすめです。
スエード靴のメリットとデメリット

最後になりますが、スエード物のメリットとデメリットについてまとめておくことにします。

デメリットもありますが、スエード靴は大きなメリットがある素材なんですよ。
スエード靴のメリットについて

スエード靴はメンテナンスでまるで新品のような見た目に戻すことができます。
色が褪せたとしても補色することができますし、シワなどが目立ちにくい素材なのでメンテナンスをしてやると途端に見違えるように綺麗になるんです。
メンテナンスのたびに新鮮に履くことができるのはとても楽しいポイントです。

それからあまり人と被らないというのも嬉しいポイントですね。
スエード靴のデメリットについて

デメリットは専用のメンテナンスアイテムが必要になることです。
今回のメンテナンスでも起毛革の専用のブラシや栄養剤を用意しました。専用のアイテムがないとメンテナンスができないのはどうしてもデメリットになってしまいます。

一方、一度揃えてしまえば長く使えます。消耗品の栄養剤も相当長く使うことができますよ。
まとめ: 【ドクターマーチンもOK】スエード・起毛素材の革靴のメンテナンスを解説

今回はスエード素材の革靴についてのメンテナンスについてまとめました。
専用のアイテムを必要とするところから、ハードルが高いと感じてしまうこともあるかもしれません。しかし、一度慣れればメンテナンス自体は簡単ですしとても面白いです。
ぜひ、臆せず起毛素材の革靴にも挑戦してみてくださいね。

スエード靴には起毛した革独特の魅力があります。ぜひ楽しんでみてください!
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