今回は『ドクターマーチン』の「MIE(メイド・イン・イングランド)モデル」について解説をしていきます。
ドクターマーチンには現在、大きく2つのラインがあります。それが通常ラインとイングランドモデル。
見た目にそこまで大きな違いがないこの2モデル。一体どんな違いがあるのでしょうか?実際に通常モデルと比較を行いながら様々な角度から解説します!
あなたがイングランドモデルを買うべきかどうか、この記事ではっきりとわかります。
なぜ、イングランド製ドクターマーチンは人気なのか
『ドクターマーチン』には、通常モデルの他に「MIE」というモデルがあります。MIEとは“イングランドモデル”を指しており、つまりはイギリスで作られた特別な『ドクターマーチン』のことを指します。
3ホールや8ホールなど、定番のモデルにも通常モデルとイングランドモデルは存在し、一見すると違いはわかりません。でも値段の差は約1.5倍。イングランドモデルの方が高額です。
しかし、イングランドモデルは非常に人気が高いです。一体なぜ、イングランドモデルは高額にもかかわらず高い人気があるのでしょうか。
ドクターマーチンはイングランドで生まれた
そもそも、『ドクターマーチン』はイギリスで生まれました。しかし、1960年の誕生から時間が経つと、『ドクターマーチン』はイギリス国内で生産されなくなってしまったのです。
イングランドモデルは『ドクターマーチン』がイギリス国内でもう一度製造を始めたモデルになっており、製造地が本来のイギリスに戻ったモデルなのです。
一体なぜドクターマーチンはイギリスでの生産を一度中止したのでしょうか?
1460年イギリスで誕生
ドクターマーチンはドイツ人の医者「クラウス・マルテンス」によって生み出されました。
なぜ、ドイツで生まれた靴がイギリスで愛されるようになったのかは別の記事を読んでもらえればと思いますが、人気を誇った『ドクターマーチン』は2000年代になると販売数が伸び悩み、イギリスの工場が次々閉鎖されます。
そして工場は海外へ移され、製造が続けられるようになるのです。
ドクターマーチンの歴史について気になったら、こちらからどうぞ。
現在、多くのモデルはタイやベトナムで生産されている
2000年代の販売不振後、『ドクターマーチン』の工場はタイやベトナムなどに移されました。そもそも『ドクターマーチン』は他の革靴ブランドと比較すると質・性能に対して非常に安価です。
人件費の高いイギリスではなかなか利益を増やすことが難しかったのでしょう。工場を人件費が安い国へ移動し、さらにアーティストとのコラボレーションやサンダルなどの新しいアイテムを追加することで徐々に売り上げは回復していきました。
現在では多くのドクターマーチンはイギリス国外で作られています。だからイングランドモデルは希少で人気が高いのです。
通常モデルとイングランドモデルの違いとは?
筆者私物の「通常モデル」と「イングランドモデル」の『ドクターマーチン』を用意しました。
イングランドモデルは職人の手によって一足一足作られています。しかし、通常ラインと見比べてもほとんど同じ見た目をしているので違いが分かりにくいです。
そこでこの2足を使って通常モデルとイングランドモデルの違いを詳細に解説していきましょう。
アッパーに使われている革が上質なものに変更されている
まず異なるのはアッパーに使われているレザーです。通常モデルが「スムースレザー」を使っているのに対して、イングランドモデルは「クイロンレザー」が使われています。
上の写真では左側がイングランドモデルの『ドクターマーチン』です。こちらの方が革のキメが細かいのがお分かりになるのではないでしょうか。
さらに詳しくいえば、通常モデルは「スムースレザー」というガラスレザーに近いものが使われています。これは革を薬剤でコートしているような革で、強い光沢が長く持続します。メンテナンスも簡単ですが、経年変化は大きくありません。
一方、イングランドモデルの「クイロンレザー」はいわゆる“茶芯”と呼ばれるレザーが使われています。上の写真の通り、茶芯のレザーは革の表面が染まっているだけで内側は革本来の色が残っています。使い込み傷が付くと下地の茶色が浮き出て独特の経年変化が楽しめます。
この経年変化が大好きな革靴好きも多いのです。かくいう私もその一人。
ヒールループの文字が金色となっている
次に、通常ラインとイングランドモデルではヒールループの文字の色が異なります。左側がイングランドモデルですが、右の通常モデルと比べて文字の色が白っぽくなっています。
写真では分かりにくいのですが、イングランドモデルは文字の色が金色です。一方通常のラインの文字は黄色であり、非常に分かりやすい違いのひとつです。
ソール・インソールがイングランドモデル専用に変更されている
イングランドモデルの『ドクターマーチン』はソールが特別仕様のものになっています。左側の濃い色の方がイングランドモデルですが、“MADE IN ENGLAND”の文字がソールに浮いているのがわかるでしょう。
さらに、インソールも異なります。通常ラインのものはモデルによって仕様が異なるので割愛しますが、イングランドモデルの『ドクターマーチン』はヌメ革のようなレザーに金文字で“AirWair”の文字が書かれています。
ヒールループと同じく文字は金色。プレミアムラインらしいさりげない高級感があって好きです。
通常のドクターマーチンと同じポイントは?
反対に、通常の『ドクターマーチン』とイングランドモデルと同じ部分はどこでしょう?
基本的には素材と作り手が異なるだけでカタチは同じです。ドクターマーチンらしい分厚いソールも、アッパーとソールの間にあるイエローステッチも、ボリュームのあるシルエットも同じ。
イングランドモデルと通常モデルの違いは、履く分には素材と作り手だけです。見た目の違いはじっくりと観察しないとわからないレベルですから。
イングランドモデルの方が本来の生産地で高品質な素材を使っているだけ。簡単にいえば自己満足の一足です。でも革靴好きの皆さん、こういうの好きでしょう?見た目は同じ。でも素材が違って、職人が手作業で作っていて、良い経年変化が楽しめる。
イングランドモデルは靴好きなら垂涎ものです!少なくとも値段に見合う価値はあると思います。
イングランド製ドクターマーチンの購入方法と注意点
最後に、イングランドモデルの『ドクターマーチン』を購入する上での注意点を解説していこうと思います。
イングランド製ドクターマーチンはどこで購入できる?
イングランドモデルの『ドクターマーチン』ですが、正規販売店を中心に販売されています。しかし、『ドクターマーチン』の路面店へ行ってもあまり在庫がない印象を受けます。
そもそも生産数が少ないので、入荷が少ないでしょうし人気のサイズとなるとなかなか入手することができません。なので、おすすめの購入方法は「ドクターマーチン公式オンラインサイト」を利用することです。
オンラインでも在庫は少ないので、マイサイズがあったら迷わず購入するのがおすすめです。
イングランド製ドクターマーチンを購入する注意点
イングランドモデルを購入するにあたって、サイズ感が不安な人もいるかもしれません。しかし、安心ください。通常モデルとイングランドモデルでサイズ感に特に違いはないように感じました。
現在『ドクターマーチン』を6足所有していますが違いは感じないので、サイズ感についてはまず通常モデルと同じと考えていいでしょう。すでに『ドクターマーチン』を履いているあなたは、普段履いているものと同じサイズを選べば問題ありません。
初めてのドクターマーチンや、サイズ選びで不安なら上の記事で詳しく解説しています。
イングランド製ドクターマーチンを手に入れてその価値を感じよう
ここまで記事を読んでくれたあなたは、きっとイングランドモデルの『ドクターマーチン』に強い関心があることでしょう。
普通の『ドクターマーチン』の1.5倍も高いモデルを欲しがっている時点であなたはなかなかの靴好きの変態さんでしょう!イングランドモデルは見た目こそ変わりませんが、素材感や経年変化でニヤニヤできる玄人好みの一足だと思います。
革靴を育てるのには時間がかかりますから、早くイングランドモデルを手に入れて沼に落ちることをおすすめします。
命短し履けよ革靴!イングランドモデル、おすすめです。欠品でなかなか買えませんが。
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